全力後ろ向きダッシュ

気づけば真っ当な設定が何一つないという恐ろしい処ですねここは。
でも原作至上なのだとか言ってみる。
えっと。爛れた兄弟愛。
らぶらぶ幸せのつもり…つもり。
今更だけど同性・近親相姦注意。

ぱくり、と噛み付く
その滑らかな首筋に、大きく口を開けて。
口に広がる若干の塩味と、温かな体温、香りが愛しい。

「…美味しい？」
俺がしばらく至福を味わっていたら、アルが問い掛けてきた
五月蝿い、獲物は黙ってろ
と思いつつも声だって耳に美味しいのだから仕方ない
「ああ、喰っちまいたいくらい」
正直に答えると、さもおかしそうに笑う
「食べられたいくらい、じゃなくて？」
かわいいかわいい俺の弟は、そのかわいい顔でもって悪い男の表情をする
膝に跨がっている俺を下から舐め付けるように見上げて、
それでいてまたかわいらしく首を傾げてみせるのだ
だからお前、それずるいって
俺は欲望に素直に従うことにする
即ちこの凶暴な口を、もっと凶暴な癖に優しげな振りをしているあの口へ
大きく口を開けて、食らい付いてやる
お前もこうやって喰われる感覚を味わえばいいんだ
すんなり侵入を許す温かいそれを思う様貪ってから、わざとゆっくりと離れる
「どっちも同じ、だろう？」
にやり、と笑いながら言ってやる
俺はお前とくっついて居たいんだ
邪魔っけな衣服なんか取り払って隙間をなくして
ぎゅうぎゅうに抱き着いて抱きしめてお前を感じたい
「なぁ、アル？」
耳にかじりつく勢いで囁く
受け入れるのは俺だけど、貪ってんのはオタガイサマ
だろ？こんなシャツなんか脱いじまえよ、折角くっついてんのにお前が遠いだろ
「…そう、だね」
いいねぇその顔、その声。男丸出しで切羽詰まってる感がたまんねぇ
「本当に食べられちゃいそう。…でも食べられるのを待つよりは」
僕から食べに行きたい、かな
俺の弟は掠れる寸前の低い低い声で、俺の耳元に爆弾投下
耳が食まれて短い短い導火線に点火、爆発にタイムラグなんてない

俺がコイツのシャツを剥ぎ取る頃には俺もとっくに剥かれてる
ぎゅうと抱きしめればピッタリくっつき合う肌が気持ちいい
やっぱりこうでなくちゃなぁアル、アル、アルフォンス

俺が抱きしめてもお前が抱きしめても
結局お互い手を回さずにはいられないんだから一緒だろ？
多分互いに「自分が」抱きしめるのに「相手が」応えてると思ってるんだろうな
相手しか見てなくて自分の事しか考えてねえんだよ
ああ馬鹿な俺達、でもってそうあることに全くもって吝かじゃねぇんだ
ああ、馬鹿な俺達

熱が、弾けた